長岡亮介のよもやま話458「数字と数の違いを理解する重要性」

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⏰水曜日 2025.08.20 09:20 · 7mins

つい先ごろ、戦時シミュレーションの話をいたしましたけれども、その際話題となったのは、国力の差を実際に明示的に理解するために、それを数で表現するということでした。

私達は、何らかの性質の強さ弱さ、あるいは量の多さ少なさ、それを表現するのに数を用いてすることが一般的ですね。数によって、私達はそのような性質の強弱、あるいは物量の大小を明確に表現することができるようになった。これは人類史上の大発見と言っていいんだと思いますが、多くの人がこのことを少し誤解して、数の代わりに数字という表現を用います。数字は裏切らない。例えばそういう言い方をしてしまうわけですね。数字は数を表現するための手段であって、ただの文字でしかない。数こそが重要なのですが、その数の重要さにではなく、数字という数の表現の方に人々の関心がいってることは、とても残念なことだと思います。

数字というのは、ただの数を表す文字にすぎない。数字というのは英語ではいろいろな表現がありますね。0から9までの数のことはdigit、そういうふうに言いますし、デジタルというのはそのうちの0,1その二つの文字からなる数字の体系のことをデジタルと呼ぶ習慣も定着しています。digitは元々は指という意味でした。指をもって数を数えるっていうことがその起源にあるのでしょう。

数字というのを表現するには、もちろんfigureという普通の表現もあります。figureは図形という意味ですが、その図形というもので、最も単純に表せるものとして、数があったのでしょう。figureにフィギュアスケートのような別の意味もありますね。その他に、数学的に数字を表す言葉には、numeralっていう言葉があります。あるいはnumericという形で使うこともあります。例えば、算用数字、アラビア数字のことですね。漢数字、中国、日本で使ってる数字で、そういう数字の違いを表現するのに、numeric、そういうふうに言います。numberっていう、もう少しニュートラルな言葉がありますね。numberっていうのは数でありますが、その数の中には様々な種類の数が含められる。numberという言葉には、そのような言葉の持っている多義性を許容するおおらかさがあるわけです。

このように数字という表現にもいろんな表現があるわけでありますが、少なくとも私達が物事を考えるときに数字で考えるわけではない。数字を利用しているだけであるということは、私は大いに強調して確認しておかなければいけないことであると思うんです。というのも、多くの人が数と数字の区別に無頓着になり、例えばサラリーマンの営業の人が成績を上げると、営業成績を上げるというのは、数字を上げるとこういう表現を平気でしていますね。数値というのは文字にすぎませんから上げるも下げるも、そんなものは意味がないことですね。

同様に経済、あるいは投資、あるいは株式の動向、そういうのにおいてもしばしば様々な数、インデックスと言われる指数のようなもの、経済指標とか株式指数とか、そういう数値が非常に重視されておりますが、その数値は数値であって、数値そのものはある規約の元で、ある約束のもとで意味を持っているだけで、その数字が上がること下がることそのものに意味があるわけではない。それに結び付けられている概念が、増加すること、減少することに意味があるということです。

当たり前のことを言っているわけで、これに反対する人はいないはずですけども、私はともすると、言葉の使い方に関して厳密でなくなるということが、結局その言葉に対応する概念を取り扱うときに、厳密でなくなるということに、それが繋がるような気がしていて、やはり言葉は正確に使うということがとても大切ではないかと思っているので、あえて数と数字としばしば混同されているものについて、明確に区別する理由を述べました。

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