2月16日(日)に日本大学文理学部にて,2月の定例研究会を実施いたしました.会場にはほぼ満席になるほどの人が集まり,オンラインでも10名ほどのご参加と,合計40名を超す方々にご参加いただきました.
今回から「シリーズ企画」として『いまさら聞けない○○○○』,『○○○○,この一問!』といったタイトルでの投稿を募ったところ
- 「いまさら聞けない正弦定理・余弦定理」(及川久遠先生)
正弦定理と(第一・第二)余弦定理の同値性を紹介する内容でした.質疑では,その「同値性」の証明の中で使われている種々の定理や性質に焦点があたり,そもそも「同一の公理系から導かれる定理同士が「同値」であるとはどういうことなのか」など,踏み込んだ議論がなされました. - 「いまさら聞けない背理法」(新妻翔先生)
「背理法」と「対偶証明」の基本構造とその違いを端的にまとめ,誤解の“犯人”(「示すべき命題」と「結論」の混同)に迫る内容でした.質疑では,「問題文における「○○であるとき」(命題の大前提)をどう読むべきか」,など実際的・実践的な内容に踏み込む議論がなされました. - 「いまさら聞けない円錐曲線」(松並奏史)
「円錐曲線は2次曲線である」ことについて,立体幾何的証明,射影幾何的証明,解析幾何的証明,「ベクトル」を用いたアプローチと,様々な手法による複数の証明・アプローチを取り上げる内容でした. - 「三角関数?,この一問!」(雲幸一郎先生)
三角関数の変域に関する問題へのいくつかのアプローチについての解説から,三角関数の「定義」の理解の重要性へと結びつく,雲先生ならではの,基本的ながらも奥深い講義でした.
といった,ごく基本的な事柄ながらも,各発表者ならではの独自の切れ味が光る,彩り豊かな発表が並びました.加えてそれぞれの内容の本質に迫る質疑も充実しておりました.
また,午前中には,長岡亮介先生による「数学の大衆化」(小倉金之助著)というエッセイを教材にした,1930年代と現代の数学教育を結びつける,深い視座からの講義もありました.オンラインでご参加いただいていた落合卓四郎先生との,本教材の時代背景,戦後の数学教育の歴史,そしてこうした歴史を踏まえた日本の数学教育のシステムに迫る議論は,決して他では聞くことのできない,たいへん貴重な内容だったと感じています.
今回は若手の方々や遠方からの対面参加も多く,これからの TECUM の勢いを期待させる研究会でした.また,理事会広報担当による Instagram アカウントも開設予定です.
来年度も引き続き TECUM の活動にご期待ください.
(文責:松並奏史)
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