長岡亮介のよもやま話234「納税意識」

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 最近の日本は、高い消費税、国際的に見ればこれでもまだ安い方だということもできるかもしれませんが、その消費税という制度によって、国民が日々税金を取られているのだということを自覚するようになったということは、私自身はとても良いことだったと思うのです。なぜかというと、国あるいは地方自治体が行う事業というのは、全て税金によって賄われている、ということですね。コロナウイルスのワクチン接種にしても、ものすごいお金が必要だったに違いありませんが、それで潤った開業医さえいるくらいでありますから、大変なお金がばらまかれたわけです。それは国がやってくれているというのではなくて、私達の税金が投入されている、税金が足りない分は国債という将来に対する借金、それによって賄われている。そのことに国民が、敏感になったということは、とても良いことだと思うのですけれど、まだまだ敏感でない人が多い。それは国がやればいいじゃないか、国の責任じゃないかって、そういうふうに言う人がいるのですが、国というのは、実は国政を牛耳っている一部の権力者のことではなくて、その権力者を選んでいる国民一人一人なのですね。

 例えば、自然災害があると、地域の消防隊なり、あるいは近くにいる自衛隊なり、そういう人々が動員されて、救援活動で活躍します。自分の生死をかけたような活動でありますから、本当に大変なことだと思いますけど、実はそのように出動するというときに、出動手当を国民が払っているということを自覚している人は、少ないと思うのです。日曜出勤手当というのでさえサラリーマンだったならば、当たり前のことだと思いますけど、当然地方自治体の職員あるいは国家公務員に関しても、休日を返上して重労働に参加するというときには手当が付くわけです。国賓を招いていろいろと仰々しく行事をする、そういうときにも、実はその警備のために動員される警察官、そのために莫大な出勤手当が払われるわけです。その金額がどれくらいになるかということについて、関心を持っている人はいないのではないでしょうか。警察官あるいは自衛隊ご苦労さん、そういうふうに思う人は多いと思いますけど、みんな無償奉仕でやっているわけではない。それは、雇われたサラリーマン、あるいは雇われた兵隊として、余分な仕事をするときには、それに対して手当が付くということです。

 これは非常に簡単な例を引き合いに出したのですが、全て国がやる行事、あるいは地方自治体がやる行事に対しては、予算というのが付くわけです。その予算によって、人々により好ましい社会、地域にとって、大切な役割を果たしていただいているわけですが、ただでやっているわけではない。奉仕でやってもらっているわけではない。そのことに対して、国民一人一人が感謝の気持ちを持つと同時に、国民一人一人が実はその経費を負担しているのだということをわからないといけない。全ての国の行政的な仕事、あるいは地方自治体の仕事、ゴミの回収1個取ってみてもそうですが、それにはお金がかかる、ということですね。私達は奴隷制度というのを持っているわけではありませんから、みんな人をしかるべき給料で雇って、その合理的な給与によって集まる人がいて、初めてその事業が成立しているというか、非常に経済学的に合理的なそういう背景が働いているということです。

 ですから、庶民はしばしばそれは国がやればいいじゃないか、ということを気楽に言うのですが、国がやるときには、その国がその予算を取り、その予算を配るという仕事をしなければいけないということです。そして、誰を選び誰にいくら払うかということを決める担当の人は、それなりの力、権力を持っているわけですから、その権力を自分に都合よく使うという不埒な輩が出てきても、決しておかしくないわけですね。大きな予算には大きな利権が付き纏い、そして大きな利権があるところには必ず汚職があるということ、そのことについて私達は、人間的な常識として、あるいは大人の常識として最低限知るべきでありますね。大人の中には、自分たちもそういう甘い汁にありつくということが目標だ、そういうふうに考えている人も少なくありません。いい大人になって、まだ一人前になっていないと思うと、私は情けない気持ちでありますけれども、そのようなお上の利権、それのお零れにあずかるという形で生きていこうとしている人たちが未だにいるということです。

 私達は、勿論そういう人間の悲しい現実、それを見て見ぬふりをするということをするのではなく、それを凝視しつつ、人間なのだから、もう少し高尚な生き方を、人間らしい生き方をすることができるような、そういう社会に向けて少しずつでもいいから改革していくことができたらいいのにな、と思います。そのように、大人たちが一人前の大人になる上で、一番大切なのは、税金を納めているのは自分たちである、ということを自覚することだと思います。納税は非常に厳しい。私はビールが好きなので、ビールを飲むとビールの酒税がものすごく高い。本当に税金を半分飲んでいるような、そういう料金を払わされているわけですね。そのような高い税率、国税、ひどい税金という意味ですね。国の税金、国税に苦しむということを通じて、納税者としての自覚が人々の間に広まるならば、それも良いことではないかと思います。

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